F1ヨーロッパグランプリ

ニュルブルクリンクで行われたのはドラマティックなレースでした。タイヤへの負荷が高い高低差のあるニュルブルクリンク、まさかあのようなことが起ころうとは・・・。

スタートから波乱のあったこのレース、フォーメーションラップで隊列がうまくいかず、エクストラフォーメーションラップもフィジケラが動けないという状況に。

仕切りなおしのスタート、そして第1コーナー、かなり鋭角のコーナーで当然のように渋滞が起きる。そして接触。ここでウィリアムズのウェーバーがリタイア。ラルフ・シューマッハ、佐藤琢磨がフロントウィングにダメージ。ここで順位が大きく変わる。

ウィリアムズのニック・ハイドフェルド、フェラーリのバリチェロが3ストップ作戦、他は2ストップ作戦、と最後の最後までレースの状況が読めない。

前戦のモナコとは違い、オーバーテイクが比較的楽なこのサーキット、やっと調子のつかめてきたフェラーリの二人が目に見える程スピードが出て、刺激的なオーバーテイクが続く。ブリヂストンのタイヤも決まってきたみたいですね。

しかしブリヂストン、ミシュランどちらも読めなかったのがこの山岳地帯にあるサーキットの天候。路面温度は放送された限りでは44度まで上がった。そうするとタイヤにまた余計な負荷がかかってくる。

ドラマの序章は残り6周。トップを走るマクラーレンのキミ・ライコネンの右フロントのタイヤに明らかな異常が。ピットではタイヤ交換の準備はするものの判断は「ゴー」。オンボードカメラでも分かるほどの異常な振動がマシンを痛める。

それを追うポイントリーダー、ルノーのフェルナンド・アロンソはリアタイヤが磨り減り、残り4周からはライコネンと同様に右フロントに見える程のダメージが。残り3周で2.5秒、残り2周で約1.5秒という射程圏内に入り、ファイナルラップへ。

下り勾配のメインストレートを抜け、第1コーナー。ブレーキング、前輪に負担がかかる。タイヤの起こす振動でカーボンファイバーのサスペンションが悲鳴を上げる。ライコネンのマシンはそれに耐え切れず右フロントが破壊、その後ろからアロンソがかわし、そのままチェッカーフラッグ。2位はハイドフェルド、3位がバリチェロで、結果的にマシンを軽い状態で攻めていく3ストップが功を奏したというオーダーとなった。

ライコネンは完走扱いで11位だったが、目前まで手にしていた10ポイントを失ったのは大きいだろう。

出遅れざるを得なかった佐藤琢磨は12位。次回カナダGPでの健闘を期待したいところです。